2013年11月27日水曜日

Vol 25 「On Foreign Ground」
日時 2013.10.24   1600-17:30

展示タイトル(期間):「On Foreign Ground(2013.10.16-27)  
展示作家: スザンヌ・ムーニー 参加者:スザンヌ・ムーニー、アルノー・ガリージア(遊工房レジデンスアーティスト、フランス、レジデンス1)、本江邦夫(多摩美術大学教授)、村田達彦&弘子(遊工房ディレクター)、針谷美香&ジェイミ・ハンフリーズ(遊工房スタッフ)、他 進行:ジェイミ・ハンフリーズ
記録:ジェイミ・ハンフリーズ、針谷美香


クリティーク・セッション概要
以下Q&A



スザンヌ:ここで発表した作品は以前の作品と関連しています。そこで、作品の制作過程についていくつかお話したいと思います。私は、新しいアイデアを初めて挑戦しています。最初ドローイングの展示する意向で昨年このプロジェクトをスタートしましたが、原案から離れ、このような写真とデジタル・イメージの一連の作品を発表する事にしました。

みなさんが見ている写真の中の風景は、私が14歳か15歳の時初めて訪れた場所です。人間はどのように、自然と人が創った物を区別しているのだろうかと言ったような、景色と我々との関係性に興味があります。東京に4年以上暮らした後、新たな視点を携えアイルランドの景色を再考するようになりました。そして、今年2月、北アイルランドのこの場所を再度訪問しました。ここで見られる自然の形態とそれらの幾何学的な外観は、強く私に東京のような都市の景観を思い出させました。私がここで作品としてそう作りたかったものは、この繋がりです。

アルノー:この作品について説明してもらえますか?この作品だけが、どうしても理解できないので。



スザンヌ:他の写真では、私はどのように見る者がこの景色を認識するかに興味があります。歴史的に、これら自然の形状は人々に、人間の手によって作られた物を連想させてきました。このデジタル・イメージの作品では、私自身によって作成された写真がどのようにこれらの景色イメージと関連付けられて見られるかに興味があります。すべての石の形と表面は反対側の壁にある石の作品から始まっています。見てわかるように、真ん中にある石は基準となるような一定の形をしていて、一方その他の石は周りに一致するように調整されています。紙の選択を考えた結果、画像がシリーズの他の写真のように自然に見えます。


アルノー:私は今からこの作品がどのような方向に向かって行くのか興味があります。

スザンヌ:これはある意味私が将来に渡って探求していく作品になるでしょう。次の作品で、人々が山に登る動機と我々の景色との関係性の両方を探求しながら、スカイツリーの頂上からの景色と富士さん頂上からの景色を比較研究したいです。


達彦:パノラマ・ショットよりむしろ岩自身をクローズ・アップして見せる事を今まで考えたことはありますか?

スザンヌ:はい、私はそのへん考慮しました。しかし、私はここで発表した場所に前後関係を与え、人間との関係性を探索することが重要であると感じました。

それゆえに、私が遠くに映るこの写真を使いました。



弘子:これらの作品に選んだ景色はとても強いインパクトを持っていますが、どのように、遊工房ギャラリーの中で、あなた自身の作品として見せる難しさを克服しましたか?

スザンヌ:これは、本当に難しい問題で、現在摸索中でもあります。

この展覧会で個人的な玄武岩の研究も含めようと決めたこと、そして、なぜデジタル・イメージを通して新しい風景を創造する方法を探索し始めたのかという理由でもあります。



参加者:このデジタル写真は特に面白い。何通りもの探索の仕方があるように思います。
 

2013年11月20日水曜日

Vol24 「City Dwellers:Urbanites of Tokyo PJ6581 Part3」「Fading in」



日時 2013.9.22   1600 

展示タイトル(期間):「City DwellersUrbanites of Tokyo PJ6581 Part3(2013.9.18-22)  展示作家:AdeKhai
展示タイトル(期間):Fading in」 (2013.9.7-29)
展示作家: 土方大

参加者:展示作家、村田達彦・弘子、椛田有理、村上綾、村上郁、池田哲、他
進行:ジェイミ・ハンフリーズ
記録:椛田有理、針谷美香



Khai作品コンセプトの説明
作品を通したゲイ・カルチャーの可視化。
日本での滞在中、ゲイ・コミュニティー(新宿2丁目、和田堀公園など)をリサーチ。ゲイに対して厳しいシンガポールより日本はゲイに対し理解ある社会と思って来日したが、東京でも存在自体隠されていると感じた。ゲイに対する偏見はネガティヴなものであるため、あまり直接的な表現は意図的に使わないようにしており、象徴的な扱いに留めている。

以下QA
参加者:作品に登場した怪獣のチョイスに理由はあるのか?
Khai:怪獣は小さいころTVで見たもので、その中でもポピュラーなものを選んだ。ゲイを怪獣というモチーフを使って表現し、かわいらしく描くことで怪物のように排斥されがちなゲイの姿を表現した。
参加者:リサーチの結果、東京とシンガポールのゲイの違いは感じたか?
Khai:東京のほうが自分自身がゲイである事を隠しているように感じた。
参加者:展示作品の大きさは、スペースを見て決めたのか?前から決めていたのか?
Khai:特に決めてはいなかった。展示の際の設置場所(2人で1つのスペースを使用しているので)については、連日Adeと話合いを設けた。最初、迷路の様な展示にしようかという案もあった。



Ade:作品のコンセプトの説明
シンガポールの都会・混雑・汚染を表現。Ade自身がOCD(強迫性障害)を患っているため、作品をつくることで症状を改善したいと思っている。
コラージュ作品は、電車に乗った時に受けたインスピレーションをもとに、駅にあるチラシを集めて制作、電車の窓から見える街の混雑した様子を表現。コラージュという技法の「集合」的な要素も、扱う混雑というテーマになぞらえて選択している。
ビデオインスタレーションでは、人のいない映像をあえて撮影し、騒音だけで街の喧騒や人々で混雑している様子を表現した。
木を使ったインスタレーションは、集合され構築されるイメージをモニュメント的に表現している。

以下QA
参加者:ビデオに人が写っていない=ゲイが表に出ないとうKhaiの作品とリンクしているのか?
Ade:特にリンクしていない。
参加者:なぜ、コンクリートの建物の重なり合いを表現するのに、木を使ったのか?
Ade:コンクリートのビルを表現するのにあえて有機的な素材である木を使った。
作品のテーマやコンセプトを際立たせる為、相反する素材を使用し表現した。(例:コンクリートのビル群が重なりあっている様子を、有機的な木材を使用しインスタレーションで表現。)

土方:作品コンセプトの説明
明るい方へ膨らんでゆくもの、明るくなってゆくものをイメージし、アプローチをかえてそれぞれの作品として発表。素材への関心があり、素材そのものがもつ魅力を引き出し、提示している。尿素や虹彩があらわれる素材など、特殊な素材への関心もあり、虹彩の作品は鑑賞者の立ち位置によって変化するというインタラクティヴな要素もある。それぞれの作品は独立しつつも関連し、物語的に連携する展示として構成している。

以下QA
参加者:尿素を使った作品(とても綺麗な結晶)に、パーティーモールというチープな素材を使ったのは特別な理由があるのか?対比は面白いと思った。
土方:パーティーモールを使った理由は、コミュニティーの中で楽しかった思い出(クリスマスなど)、集合体をイメージしたため。「楽しい」素材というつもりだったので、チープな素材を使ったという意識はない。
参加者:下の黒いマットは作品の一部か?
土方:意図していなかったものであるが、今は作品の一部と考えている。
参加者:写真と立体物の関係性が良くわからない。(写真とその前に置かれた2対の鉄くずとボンドによる作品)
土方:意図せず出来たもの、二次的派生した物という点が共通している。
(写真は冷凍庫の中に発生した霜、切削したときに発生する鉄くずにボンドを付着させた作品)
参加者:尿素の結晶の作品からはオーガニックのようなイメージも受けるが、ダークサイドのイメージも感じた。
土方:形としては、気持ち悪い、得体の知れない物をイメージ。素材はポジティブ、形は気味の悪さを表現した。形はいびつなサークル。粘土で作ったを握りつぶしたイメージ。大きさ、形状は搬入時に決めた。表面のアプローチも、そもそもフレームを見せるつもりはなく、色のコントロールはしていない。色はモール自体の色味を結晶が吸い上げることによって発生する。